足掛け5年持ち堪えたピストンは、こちらの背筋が伸びるほど毅然とした面持ちで役目を終えた。
燃焼室にこびりついたスラッジはさしずめ俺自身の後悔と苛立ちを示唆しているようで気恥ずかしく思えたり。
バルブクリアランスのシムはすべて規定値内とのこと、優秀なこのエンジンに比べて俺はどうであったか、ちょいと思い返す。
Offerings to the God of Speed
揮発し続ける魂は、また着火してピストンを力強く押し下げることができるかな。
神も仏もあったもんじゃないこの世の中だが、バルブが開閉するあいだ(追記:吸気バルブが開き新鮮なモチベーションが充填・圧縮され爆発を待つその刹那)ほんの一瞬、祈ってもよろしいか。